昨年度のわが国の社会・経済は、前半こそ新型コロナウィルスの感染拡大の影響が色濃く残り厳しい情勢が続いたものの、後半はコロナ禍の収束が見え始め、経済活動や国民生活にも徐々に明るさが戻ってきた。
また、ウクライナ戦況が長期化するなかで、燃料価格をはじめとする原材料価格の高止まりとともに車両及びタイヤ等の資材価格の上昇も加わり、多くのコストアップ要因が重なる年度となった。
一方、トラック運送業界の働き方改革とその社会的影響が、いわゆる「2024年問題」として内外でクローズアップされ、将来的な輸送力不足への懸念が強まるとともに、持続可能な物流の重要性に対する社会的な関心が高まった。
このため、トラック運送業界の大半を占める中小トラックの生産性向上とこれを実現するための標準的な運賃をはじめとする適正運賃の収受が一層の重要課題となり、荷主との商習慣の見直しや物流DXをはじめとするあらたな革新的な取組みも更に求められるようになった。
このような厳しい社会・経済環境のなかで、当連合会は協同組合・連合会が活用する高速道路料金割引制度に関しては、「大口・多頻度割引実質50%の恒久化」等について関係先への要望活動を継続した結果、大ロ・多頻度割引の最大割引率を40%から50%に拡充する措置が延長された。また、高速道路深夜割引の見直しについては令和3年12月に国土交通省から深夜割引の見直し案の提示を受けて以来、数次にわたり粘り強く修正を求めた結果令和6年度中を目処として長距離逓減割引の拡充を含めた深夜割引の見直しが実施されることとされた。さらに、大型車駐車マス拡充の要望については、各高速道路会社から提出された3ケ年計画において令和4年度は614ケ所の拡充計画が提示された。
燃料対策事業においては、ここ数年来続く燃料価格の高止まりの中で、日貨協連の燃料共同購入制度を活用した可能な限り安価で安定的な燃料の確保に努めるとともに、国に対する「激変緩和措置」の延長要望の活動展開とともに、燃料関連情報を積極的に収集し、傘下組合員への情報提供に努めた。
WebKIT事業においては、昨年5月に運賃の自動表示をはじめとした先進的かつ独創的な機能の装備とともに、さらなる利便性の向上を図る新システム『WebKIT2プラス』供用を開始した。令和4年度後半にはコロナ禍も収束の兆しが見え始めたことから、約3年ぶりに加入者向けの研修・交流会を4地域で開催し、さらに各地で加入説明会を開催するなど活動を活発化することができた。
一方、業界を取り巻く厳しい経済環境などを反映して、WebKITの加入者数は伸び悩んだものの荷動きの回復傾向が見られ、荷物情報件数がコロナ以前の水準に戻るなど、利用状況については回復する傾向がみられた。
また、昨今の急速に進展する情報化技術と環境変化に迅速に対応できるよう、将来の継続的なシステム改善に備えた財政基盤を確立する必要があることなどから、令和5年10月からID利用料を一律千円値上げすることとした。
保険事業においては、主力の「貨物保険」について、令和4年9月の商品改定を行い、保険料の更なる引下げと組合加入意向のある事業者への契約対象の拡充により、契約件数が着実に増加した。グループ生命保険の新規加入者については、加入者が1,000名を超えたものの脱退者が増えたことから、前年対比約100名の減少となった。
一方、自動点呼機器については、令和4年12月にあらたな要綱が整備され、乗務後点呼については認定機器を使った自動点呼が認められることとなったが、半導体の供給不足や機器認定の遅れ等により本格的な普及に至らなかった。しかしながら、全国各地で関連セミナーの開催要請も多く、関心は依然として高いことから、今後は令和5年度中に予定される「乗務前・乗務後における完全点呼自動化」を見据えてPR活動を強化し、自動点呼機器の普及促進に努めることとしている。
第58回通常総会並びに3年ぶりとなる第16回トラック運送事業協同組合全国大会を地元の愛媛県内の会員協同組合の協力のもとで、令和4年6月15日(水)にアイテムえひめ(愛媛県松山市)において開催し、410名を超える参加者を得た。
1.最重点事項(2024年問題への取組み)
(1)高速道路大口・多頻度割引制度問題に対する取組み
(2)燃料問題への取組み
(3)労働時間問題等働き方改革への対応
(4)(公社)全日本トラック協会との連携による協同組合組織化への取組み
2.重点事項
(1)高速道路問題に関する各種要望活動の推進
(2)燃料共同購入事業の推進
(3)WebKIT2プラスの普及拡大
(4)自動点呼機器(AI点呼ロボット)の本格普及に向けた取組み
(5)保険事業の推進
(6)労働時間問題等働き方改革への対応
(1)会員増強
期首103会員(連合会32、協同組合71)から3月末現在104会員(連合会32、協同組合72)に増加。なお、新規加入にあたっては、地域連合会加入状況等について確認を行った(今期2組合加入、1組合脱退)。
(2)ウィズコロナに対応した会議の推進
各種委員会等は引き続きウェブ方式を併用して開催するほか、WebKIT説明会を16ケ所で開催、WebKIT研修・交流会も全国4ケ所で実施。自動点呼機器説明会は23ケ所開催した。また、説明会において自動点呼機器の説明のみならず、KITや保険等複数の取扱商品の説明機会を確保した。いずれも、費用対効果に留意しつつ、今後も各種会議等に取り組んでいく。
(3)小規模事業者コロナ時・災害時特別対策委員会答申に基づく組織化への取組み
協同組合活用のためのリーフレットを各種説明会、研修会にて配布し、組合のメ リット等の啓発を行った。
(4)自動点呼機器の普及拡大
「運行管理高度化検討会」の審議の遅れから乗務後自動点呼の制度化が当初見込みより大幅に遅れ、事業計画を大幅に下回った。現在、乗務前自動点呼の制度化についても検討が進められており、デスクトップ版自動点呼機器の取扱いや廉価版ロボット版自動点呼機器の取扱い等取扱商品の拡充に努め普及拡大を図っていく。
(5)事務局体制の整備
令和4年4月に人事異動を実施し、7月にKIT事業部と事業部を統合するなど、業務の効率化を図るために組織体制を見直した。
(1)令和4年度全国大会(愛媛大会)
第58回通常総会並びに第16回トラック運送事業協同組合全国大会を地元の愛媛県内の会員協同組合の協力を得て、令和4年6月15日(水)にアイテムえひめ(愛媛県松山市)において開催し、410名を超える参加者となった(3年ぶりに全国大会開催)。
(2)令和5年度全国大会(石川大会)
令和5年度に開催する第59回通常総会並びに第17回トラック運送事業協同組合全国大会の開催につき、地元幹事組合・連合会と連携とて諸準備を進めている。
ホームページを活用し、日貨協連の各種事業を紹介するとともに、月刊日貨協連の構 成の一部をリニューアルするなど、会員組合の事業内容を紹介する記事等による内容の 充実を図った。
説明会等で配布する日貨協連のパンフレットを一新し、日貨協連の事業内容をより分かりやすく伝えるように工夫した。
また、業界専門誌に対しては引き続き情報交換を行い、取材には積極的に協力し記事 掲載等に取組み一定の成果を挙げた。
8月2日会場出席37名、ウェブ参加57名合計94名で開催した。合わせて日貨協力会の方々も別途参加し懇親会も行った。
従来より受託していた賃金実態、自動点呼(ロボット点呼)実証実験、中継輸送に加え新規に高速道路調査、調査・研究事業の受託をおこなった。
次世代経営者協議会が従前より取り組んでいた自動点呼機器の実証実験が成果となり乗務後自動点呼機器認定制度が12月に認定され、1月から制度創設された。
8月8日に第1回、10月24日に第2回次世代経営者協議会会議を外部有識者や国交省の方々をお招きして開催した。第3回は1月23日に開催した。
また、次世代経営者協議会の会長、副会長は各常任委員会にも参加し見識を深めている。
(1)大口・多頻度割引制度における最大50%割引延長
日貨協連が要望した「大口・多頻度割引制度における最大割引率を40%から50%に拡充する措置の延長(令和6年3月末まで)」について、令和4年度2次補正予算のなかに約78億円が組み込まれ、令和6年3月まで措置が延長されることになった。
(2)高速道路深夜割引の見直し案の提示と結果
令和3年12月に国土交通省から深夜割引の見直し案の提示を受けて以来、(公社)全日本トラック協会と共に数次にわたり粘り強く修正を求めた結果、令和5年1月20日に長距離低減の拡充を含めた最終案が提示され、令和6年度中を目処とする深夜割引の見直しが実施されることになった。
(3)大型車駐車マスの拡充と現状
休憩施設における大型車駐車マス拡充の要望について、各高速道路会社から2022年度から2024年度までの3か年に順次拡充されたなかで2022年度において614か所の拡充が計画として示された。
(1)高速道路要望(用地代控除、本州四国連絡高速道路深夜割引、長距離逓減、SA/PA等)
① 本年秋以降、全国各地で傘下の連合会・組合において、「高速道路料金割引制度に関する要望」に係る活動を積極的に展開した。
令和4年10月 御手洗副会長(愛媛県内各協同組合)並びに(公社)全日本トラック協会、日貨協連が共同で、関係国会議員及び国土交通省道路局を訪問し、高速道路料金及び各種規制に係る見直し等について要望した。
(参議院議員)※山本博司、山本順三、佐藤信秋
(衆議院議員)※井原巧、宮内秀樹、長谷川淳二、山本有二、塩崎彰久、村上誠一郎、盛山正仁
③ 令和4年11月 吉野会長、御手洗副会長が関係国会議員に高速道路料金及び各種規制見直し等に係る望書を手交した。
(国交省副大臣)※石井浩郎(官房副長官)※木原誠二(国民民主党党首)※玉木雄一郎 ※敬称略
(2)燃料・政策要望
令和4年8月 吉野会長が(公社)全日本トラック協会の燃料対策本部・本部長代行として、(公社)全日本トラック協会、(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会並びに(公社)日本バス協会と合同で「燃料油価格激変緩和措置等の延長」について国土交通大臣、西村大臣に対し要望した。あわせて、「自民党トラック議連」「公明党トラック議員懇話会」にも出席し、同様の要望を行うとともに、業界からの重点事項として、適正な運賃・料金の確保、働き方改革における改善基準告示の見直しに係る説明と要望を行った。この当初令和4年9月末を期限とする激変緩和措置について、同様の条件で、令和4年12月末まで延長されることになり、さらにその後の経済対策補正予算にて令和5年9月末まで延長されることとされた。
国土交通省、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構、6高速道路会社等6社、(公社)公益社団法人全日本トラック協会、日貨協連による勉強会において、トラックによる高速道路利用に係るトラック業界からの諸問題を説明するとともに見直しの要望等を行った。
*今年度開催分
第6回 令和4年6月6日(月) 於:東日本高速道路株式会社
第7回 令和5年2月9日(木) 於:全日本トラック総合会館
(1)高速道路料金にかかるインボイス制度について
令和5年10月のインボイス制度の導入に伴い、各高速道路会社の大口多頻度契約に係る道路料金請求システムについて、具体的な内容を早期に明らかにするよう(公社)全日本トラック協会と協働して道路局に働きかけを行った。
また、協同組合における組合員への高速道路料金の請求・精算に係わるインボイス処理方法について、道路局とともに財務省主税局に赴き見解を求めた。
(2)山陽自動車道・中国自動車道SAトラック利用実態調査
山陽自動車道・中国自動車道SAにおける夜間の大型車駐車利用状況について、令和4年6月10~11日に交通量の予備調査を行い、令和5年3~4月にかけて本格的な調査を行うことで、ドライバーの適切な休憩・休息施設の確保に向けて今後必要な改善への取り組み方策をとりまとめる。
(1)日貨協連新貨物補償制度
①加入状況
≪目標≫ 加入事社数:1,400事社
≪実績≫ 令和5年3月現在1,315社(前年対比+65社増)
取扱保険料372,432千円(前年対比106.6%)
②普及拡大の取り組み
令和4年9月契約分より、「組合加入意向のある事業者へ販売対象拡大」「更なる 保険料の引下げ」等の制度改定を実施、更なる普及促進に取り組んだ。
(2)日貨協連取引信用保険 (保険年度 令和4年9月~令和5年8月)
加入状況
≪目標≫ 加入組合数:100組合
≪実績≫ 令和5年3月現在 104組合(前年対比+4組合)
加入事業所1,798社(対前年同期比+57社)
契約保険料60,399千円(前年対比+8,117千円)
(3)ETCコーポレートカード盗難保険 (保険年度 令和4年4月~令和5年4月)
加入状況
≪実績≫ 令和5年3月現在 188組合(前年対比-2組合)
カード枚数:94,671枚(前年対比-377枚)
(1)全国トラック事業グループ保険
加入状況
≪目標≫ 加入人数:13,500人
≪実績≫ 令和5年3月現在12,914人(前年対比+104人)
(2)生活習慣病保障プラン(オプション)
加入状況
≪目標≫ 加入人数:1,300人
≪実績≫ 令和5年3月現在1,271人(前年対比+53人)
(3)保険引受会社の保険引受割合(変更なし)
次年度(令和5年度)の引受保険会社と保険引受割合を下記表の通りとした。
引受保険会社 | 大樹生命保険株式会社 | 住友生命保険相互会社 | 合計 |
---|---|---|---|
保険引受割合 | 90.0% | 10.0% | 100% |
(4)配当金
保険制度加入者に対する令和3年度の配当率(対象:令和4年4月時点加入者)は58.0%となった。
≪実績≫
利用組合数:98組合
年間利用額:2,717百万円
商工中金の銀行保証:700百万円
提携手数料:7,802千円(令和4年1月~12月分暦年実績)
①事業用トラックドライバー研修テキスト
≪目標≫ 18,390千円 (3,000セット)
≪実績≫ 16,532千円 (2,644セット)
②業務用血圧計
≪目標≫ 35,000千円 (300セット)
≪実績≫ 21,566千円 (195セット)
③AIロボット点呼機器(レンタル)
目 標 | 収入実績 | |
---|---|---|
総売上高(円) | 214,300,000 | 108,942,400 |
販売数 | 360 | 22(累計140) |
世界的な半導体供給不足及び関連法令の改正等の影響を受け、自動点呼機器の必需品であるアルコールチェッカーが大幅に不足し自動点呼機器の販売が停滞したほか、乗務後点呼の制度開始時期が令和4年12月にずれ込んだこと等から、本年度も本格的普及には至らなかった。
(1)「全国協同組合燃料価格調査」の実施
昭和54年に以来継続している「全国協同組合燃料価格状況調査」は、本年度においても約130の日貨協連会員連合会・協同組合の協力を得て実施した。
本調査は軽油価格動向のタイムリーな把握と分析を行うとともに、調査結果を調査協力組合等に報告することで、全国の日貨協連会員が取り組む燃料共同購入事業の価格交渉の際の極めて有益な資料として活用されている。
(2)「日貨協連燃料共同購入制度」の実施
「日貨協連燃料共同購入制度」は、平成19年7月にスタートした。毎月末日の2営業日前に選任された交渉団が燃料販売会社4社と個別に価格交渉を行うもので、日貨協連「全国協同組合燃料調査状況価格」の平均を下回る水準で決定されている。本年度は新たに6組合が参加し、6連合会50組合が本制度を利用した。
これらの結果、令和4年度の利用量は対前年度比約7%増の49,544KLとなり、引き続き順調な伸びを示している。
(3)燃料価格等の情報提供
原油価格及び石油製品の価格動向について、定期的に機関誌「月刊日貨協連」及び日貨協連メールマガジンに分析データ等を掲示するなど会員連合会・協同組合が行う燃料共同購入事業の交渉資料の提供に努めた。
また、急激な燃料価格高騰が続くなかで、政府による「激変緩和措置」等の支援策等について、詳細な情報の収集と提供に努めた。
日貨協連会員連合会および協同組合並びに(公社)全日本トラック協会、都道府県トラック協会と協調して開催する加入説明会の開催に代えて、WebKIT活用事例集や体験用IDなどのオンラインコンテンツの活用による加入促進に努めた。
これらの結果新たに2組合の加入があったほか、新たな営業所での利用拡大傾向が続き、総ID数は前年度比150増(+2.3%)の6,551となり、本年度においても増加傾向を維持した。
(1)会員数
前年度 | 本年度 | 増減 | ||
---|---|---|---|---|
総ID数 | 6,401 | 6,551 | +150 | +2.3 % |
加入組合 | 188 | 188 | +0 | +0 % |
組合員事業者 | 2,951 | 2,983 | +32 | +1.1 % |
営業所等 | 946 | 989 | +43 | +4.5 % |
追加端末 | 2,316 | 2,391 | +75 | +3.2 % |
【図1】【年度別】会員ID数の推移
(2)新規加入協同組合一覧(2組合)
会員名 | 所在地 | 所在地 |
---|---|---|
埼玉中央輸送協同組合 | 埼玉県大里郡 | 清水 浩一 |
豊田トラック事業協同組合 | 愛知県豊田市 | 丹羽 享 |
※申請順、敬称略
(3)退会組合一覧(2組合)
会員名 | 退会年月 |
---|---|
坂出トラック事業協同組合 | 令和4年12月31日(組合解散) |
赤城流通センター協同組合 | 令和5年3月31日 |
※申請順、敬称略
(3)加入説明会の実施(16回)
開催日 | 対象 |
---|---|
6月 7日 | 三重県富田トラック事業協同組合 |
6月24日 | 鳥取県西部トラック事業協同組合 |
7月 6日 | 豊田トラック事業協同組合 |
7月21日 | 安城トラック事業協同組合 |
9月13日 | 銚子貨物自動車運送事業協同組合 |
9月21日 | 岡崎トラック事業協同組合 |
11月 2日 | (一社)愛媛県トラック協会 |
11月 4日 | (一社)香川県トラック協会 |
11月16日 | (一社)愛知県トラック協会 |
11月25日 | (一社)茨城県トラック協会 |
12月 3日 | (公社)青森県トラック協会 |
12月 7日 | (一社)宮崎県トラック協会 |
2月14日 | (一社)神奈川県トラック協会 |
3月 8日 | (一社)高知県トラック協会 |
3月 9日 | ふくトラネットワーク協同組合 |
荷物情報件数は、期首から各月の前年同月比で増加傾向が続き、年間では過去2番目の164万件を記録した。一方、成約率は伸び悩み、隔月とも前年同月とほぼ平行線を辿り、成約件数は対前年比の1.1%増の287,254件にとどまった。また、車両登録件数も、対前年比15.0%減の152,413件に、さらに車両成約件数も4.2%減の10,899にとどまった。
このような結果、総取引件数は0.9%増の298,153件と伸び悩んだ。一方、成約運賃指数については底打ち傾向が見られ、年間平均で118.8と、対前年比で3.2ポイント増加し、全体に運賃が上昇傾向にあることが示された。
(1)情報件数
前年度 | 当年度 | 増減 | ||
---|---|---|---|---|
荷物情報 | 登録件数 | 1,351,844 | 1,644,732 | +21.6% |
成約件数 | 284,067 | 287,254 | +1.1% | |
成約率 | 22.8% | 17.4% | -5.4㌽ | |
車両情報 | 登録件数 | 179,222 | 152,413 | -15.0% |
成約件数 | 11,376 | 10,899 | -4.2% | |
成約率 | 6.5% | 7.2% | +0.7㌽ | |
取引総件数 | 295,443 | 298,153 | +0.9% |
【図2】荷物情報の登録件数と成約件数の推移
(2)運賃指数
前年度 | 当年度 | 増減 | |
---|---|---|---|
成約運賃指数 | 115.6 | 118.8 | +3.2㌽(+2.8%) |
荷物重量4t以下 | 120.4 | 125.8 | +5.4㌽(+4.5%) |
荷物重量4t超 | 113.1 | 114.5 | +1.4㌽(+1.2%) |
【図3】年度別の成約運賃指数(年度平均)の推移
【図4】月別の成約運賃指数の推移
(3)統計データの作成及び公表
荷物及び車両の登録や成約の情報件数と成約運賃指数などシステムの稼働状況をまとめた統計データを毎月作成し、広く内外に公表した。「WebKIT月例報告」は、荷動きや需給の動向をいち早く把握することができるとの評価を得ており、「WebKIT成約運賃指数」は、(公社)全日本トラック協会と連名で毎月公表している。なお、企業向けサービス価格指数を公表する公的金融機関に対して、WebKIT統計データを継続して提供した。
(1)標準的な運賃の普及・浸透
距離制運賃、時間制運賃について、「地域」、「車種」、「距離」、「時間(時間制の場合)」を入力すると簡易的に「標準的な運賃」が計算できるシミュレータアプリについて、(公社)全日本トラック協会の要請に応え、トラック協会会員版を提供した。既に運用しているWebKIT会員向けアプリと合わせて、広く業界へ「標準的な運賃」の普及と浸透に努めた。
(2)E-learningの実施
ウェブキットの健全な取引秩序を維持し、事業理念の共有を推進するため、新規加入者を中心に、適正利用ガイドラインの学習動画を活用したE-learningを提供することで、利用者の理解度向上を図った。
(3)品質向上への取組み
荷物情報の一部登録要件及び希望運賃の登録時に、適正利用ガイドラインに反する内容の登録を制御する機能を実装し、登録情報の品質向上に努めた。また、組合による取引評価データのダウンロード機能を通じて、評価内容等を組合員へフィードバックできる体制を整え、取引データを活用した輸送品質等の向上を図った。
対面式による約3年ぶりとなる研修・交流会を4回開催し、延べ460名が参加した。開催にあたっては、専門委員会の承認のもと、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえて開催時期等を決定するとともに、会場等の選定においても過度なコスト負担とならないよう努めた。参加者からは、あらためて会員間の相互理解を深め、連携を育む良い機会として高い評価を受けた。これまでのコロナ禍ではオンライン研修が主流となっていたたが、このような対面式の研修・交流会の開催には多くの期待が寄せられ、今後も継続した開催を望む声が多く聞かれた。
開催日 | 開催場所 |
---|---|
第1回 令和4年9月30日 ※会場の都合により、参加対象を九州地区の会員に限定して開催。 |
会場:オリエンタルホテル(福岡県福岡市博多区)
参加者数:100名 研修内容: (1)報告事項 ①ウェブキット2プラスについて ②エーアイロボット点呼について ③日貨協連貨物保険について (2)講演 テーマ「トラック運送業界をめぐる諸課題」 講師 ⽇本PMIコンサルティング株式会社 代表取締役社⻑ ⼩坂 真弘⽒(税理⼠) |
第2回 令和4年10月18日 |
会場:シティプラザ大阪(大阪府大阪市中央区) 参加者数:140名 研修内容: (1)報告事項 ①ウェブキット2プラスについて ②エーアイロボット点呼について ③日貨協連貨物保険について (2)講演 テーマ「トラック運送業界をめぐる諸課題」 講師 ⽇本PMIコンサルティング株式会社 代表取締役社⻑ ⼩坂 真弘⽒(税理⼠) |
第3回 令和5年2月10日 |
会場:スクワール麹町(東京都千代田区麹町) 参加者数:60名 研修内容: (1)報告事項 ①ウェブキット2プラスについて ②エーアイロボット点呼について ③日貨協連貨物保険について ④貨物事故防止策について (三井住友海上火災保険株式会社) (2)講演 テーマ「トラック運送業界をめぐる諸課題」 講師 ⽇本PMIコンサルティング株式会社 代表取締役社⻑ ⼩坂 真弘⽒(税理⼠) |
第4回 令和5年2月21日 |
会場:サイプレスガーデンホテル(愛知県名古屋市熱田区) 参加者数:160名 研修内容: (1)報告事項 ①ウェブキット2プラスについて ②エーアイロボット点呼について ③日貨協連貨物保険について ④貨物事故防止策について (三井住友海上火災保険株式会社) (2)講演 テーマ「安全の会話で築く事故ゼロ職場」 〜安全の「考え⽅・伝え⽅・やり⽅」 講師 株式会社プロデキューブ 代表取締役社⻑ ⾼柳 勝二⽒ |
(1)サーバ費用について
ウェブキット2プラスの供用開始直後に発生した過負荷状態の改善を図るため、一時的にサーバの台数を追加し、さらにサービス等級を最大限まで引上げた後、プログラムの見直しと最適化を実施し、継続的に安定かつ快適な利用環境を確保することを最優先として、段階的かつ慎重にサービスレベルの引き下げを実施した。
(2)アマゾン・ウェブ・サービス(AWS) 、ワフ(WAF)を導入
大量アクセスによる過負荷対策として、10月1日からアマゾンエーダブリューエス(Amazon AWS)のサービスであるワフ(WAF=Web Aplication Firewall)を導入し、サーバへ過剰な負荷を与える操作を遮断する措置を講じた。
(3)エーピーアイ機能の運用開始
サーバやネットワーク機器等クラウド環境の監視及び保守のフローを全体的な視点で適切に制御・管理する措置を十分に講じたことにより、システムの安定的な稼働を確保できるようになったため、ウェブキット2から実装していたエーピーアイ(API= Application Programming Interface)をプログラミングするためのインターフェース)機能について、利用細則及び申請書様式を整備した上で9月から運用を開始し5件アカウントが稼働となった。
荷物及び車両の登録や成約の情報件数と成約運賃指数などシステムの稼働状況をまとめた統計データを毎月作成し、内外に広く公表した。「ウェブキット月例報告」は、荷動きや需給の動向をいち早く把握することができるとの評価を得ており、「ウェブキット成約運賃指数」は、(公社)全日本トラック協会と連名で毎月公表している。
なお、企業向けサービス価格指数を公表する公的金融機関に対して、統計データを継続して提供していることに加え、令和5年2月より、同様のデータを国土交通省に対して提供を開始した。
令和5年10月から導入されるインボイス制度に対応するため、必要なシステム改修のための要件定義を作成した。
情報化技術が急速に進展するなか、今後の環境変化に迅速に対応できるよう、将来の継続的なシステム改善に備えた財政基盤を強化する必要があり、令和5年10月からID利用料を一律千円値上げすることとした。